白帝社 現代中国語方向補語の研究


現代中国語方向補語の研究

 著者:
 丸尾 誠 著 
 サイズ/ISBNコード:
  A5判・216p/978-4-86398-167-6
 定価:
  本体4537円+税
数量:
 説明

現代中国語の各種方向補語の用法について、中国人の空間認知の仕方、および中国人的な発想・事態把握といった概念との関連に言及しつつ、 主に発話者の認識という観点から考察する。
 1つの方向補語から派生する個々の用法を掘り下げて分析するとともに、各補語の有機的な横のつながりを念頭に置いた、整合的な解釈の構築を目指す。

【目次】
第1章 「開始」を表す動補構造“V上”について
第2章 方向補語“下(来/去)”の派生的用法について―「量」の概念との関連から ―
第3章 動補構造“V进(来/去)”について
第4章 動補構造“出(来/去)”について
第5章 「他動詞+“回(来/去)”」の形に反映された方向義―「取り戻す」「押し返す」意味を中心に ―
第6章 動補構造“V回(来/去)”について
第7章 “过”の表す移動義について
第8章 中国語における「開始義」について― 方向補語“起来”の用法を中心に ―
第9章 方向補語“起来”について
第10章 動補構造“开(来/去)”について
第11章 中国語の方向補語について― 日本人学習者にとって分かりにくい点 ―

【「まえがき」から抜粋】
「方向補語の範囲については、各研究者により差が見られる。本書で扱ったのは“上、下、进、出、回、过、起、开”(およびそれらと“来/去”との組み合わせ)であるが、この中ではとりわけ“开”を含むか否か
が議論の分かれるところである。本動詞“开”自体がほかの方向動詞とは異なり、第一義的に移動義を表すものではなく、また補語として用いられた場合には結果義寄りに捉えられる ものの、統語的に“来/去”と
結び付く用法が存在する点を重視して、本書では“开”類も含めて考察対象とした。 方向補語の用法については初級文法でも扱われる最も基本的かつ重要な事項の1つであるものの、日本人学習者が実際に使い
こなすのは容易ではない。それはこの用法に対する本質的な理解には、中国人の空間認知の仕方に加えて、中国人的な発想・事態把握といった概念まで含めて理解する必要があることに起因する。例えば、同じく
「開始義」を表す用法と言っても、補語“起来”と“上”や“开”を用いて表される状況は異なるのである。また、“买上别墅”および“买下别墅”というフレーズはともに「別荘を買う」という意味ではあるものの、補語“上”“下”が
用いられる動機づけは異なるのである。方向補語の難しさの最たるものは、やはり多岐にわたる派生義(抽象義)の修得にあると言えよう。実際の生きた中国語に接していると、既存の辞書や文法書などの記述では
対応できない方向補語の用法に出くわすことが少なくない。本書における各種テーマの設定の根底には、そうした用法を解明したいという強い思いがあった。
 一方で、考察を進めるにあたっては、本研究成果を中国語教育にフィードバックしたいという思いも併せ持っていた。中国人的な発想法に対する、より本格的な理解を促進すべく、各章のところどころで教学上の問題に言及した所以である。」